観劇アレコレ日記

いわゆる「イケメン舞台」についてのアレコレ。

2016.11.03 スカーレット・ピンパーネル 梅田芸術劇場 マチネソワレ 感想 レポ 3 安蘭けいさん

安蘭けい さん(マルグリット・サン・ジュスト役)

安蘭さんも、石丸さんの相手にふさわしく、素晴らしい歌声だった

OPの引退公演から、パーシーを想う愛の歌、一幕最後の三人でのソロ

フランスの娼婦変装では声色をガラッと変えて、ドスの効いた低音

どこをとっても素晴らしく

何度も衣装チェンジし、最後には両手に剣を持ち殺陣の大立ち回り

と、大活躍

安蘭さんも、心配になるほどソロと歌が多かった

負担ハンパなさそう

でも、どの歌も安定してて、低音は深みがあり、高音はのびやかで美しかったです

 

演技は、美しいだけでなく、コミカルな演出もあったり

美しいドレスから、娼婦のセクシーコルセット、監獄での粗末な衣装と

何回着替えたのかなと思うほど色んな衣装を着ていました

安蘭さんの魅力が存分に堪能出来て、ファンは大満足な

一作なのではないでしょうか?

 

安蘭さんの素晴らしさは本当に堪能できたのだけど、脚本がイマイチで

マルグリットがどういう女性なのか全く伝わってこなくて

キャラクターに魅力を感じられなかった

そこが本当に残念だった

 

ミュージカル好きなら分かると思うけど

舞台の生歌って

役者の歌声が凄く凄く素晴らしくて、歌詞も内容も関係なく

ただその歌声に心震える

ってことあるよね?

 

そして、歌唱力はそこそこだったとしても

役と役者が一体になってて魂の叫びみたいな歌があって

ストーリーと重なって心が震えるって事もあるよね?

 

そんでその両方が重なる時に

とてつもなくものすごいエネルギーになって

もう息が止まって涙が勝手に出てくるぐらい

感動する歌に出会えることもあるよね?

そして、それは奇跡でなくて、ミュージカルの最高峰と言われてる人達の舞台は

結構な確率でそういう奇跡みたいな一瞬を作り出すことができる

 

安蘭さんは、きっとそういう事の出来る人なんだけど

今回は、キャラの疑問が引っかかってしまって入り込めなかった

悲しみ

 

安蘭さんのファンなら観て間違いないと思うけど

ストーリーを見てしまって、疑問が邪魔した

 

 

以下個人の感想と疑問点

 

パーシーの石丸さんの感想にも書いたけど

まずパーシーとマルグリットが結婚するに至った経緯が全く描かれてない

マルグリットはフランスの有名舞台女優

引退公演に婚約者のパーシーが来ていて、ショーヴランに突然中止を言い渡される

その時に、パーシーに抱きつきながら「婚約者です」と言うのだけど

それだけ見てると、パーシーに頼ってる弱い女性なのかな、って印象

花形女優と、女優の美貌に一目ぼれしたイギリスのお気楽貴族っぽいかんじだった

そこに、特別深い絆があるとは思えなかったし

 

 

そして、ショーブランにサン・シール侯爵の居場所のメモを渡す

「本当に、危害は加えないわね?」

と心配している所をみると、優しい心の女性のよう

 

イギリスでの結婚生活が始まった瞬間から、パーシーの態度が激変

マルグリットがスパイではないかと疑ってるので(確信した?)

パーシーから、ずっと冷たくされている

(あからさまに嫌われてはいないけど、遠ざけられててそれをずっと悩んでいる)

それでも、パーシーを慕っているマルグリット

このへんも、どうしてそんなにパーシーの事を信じられるのか分かんなかった

パーシーがどういう人間かはっきり伝わってこなかったので、マルグリットが

なんでずっとパーシーを想えるのか謎だった

 

フランス時代の友人マリーに不安を打ち明けるも

「彼の目を見て」と言われ、信じようと悩むんだけど

そもそもパーシーの何に惚れたのか客(私)には分かんないから

「パーシーがあんな態度だったら、不安になるよなぁ」ってかんじ

それでも、パーシーを信じてるのだから、やはり夫にすがって生きるしかない

弱い女性なのかなーって印象

 

それから、弟のアルマンにも

「一人にしないで、旅ばっかり出ないで」と泣いてすがってるので

時代や周りに翻弄されるしか出来ない、弱い女性っていう印象がますます強まった

 

あとはアルマンに向かって「一人しかいない家族」と何度も言ってる

マルグリットが一番大事にしてる家族はパーシーでは?とアルマンに言われても

「彼は全然側にいてくれない(ピンパネ団の仕事が忙しい)

 6週間で結婚したから、自分が思ってたような人じゃなかったのかもしれない」

と漏らしてて、パーシーを愛してない、信じていないのではと思わせるセリフがあった

その割には、パーシーを嫌いになったという描写も無い

 そして、アルマンにフランスへ行かないでくれと泣いて懇願するのに

突然「気を付けるて行くのよ」とコロッと意見を変えてしまう

さっきまであんなに嫌がってたのに?って疑問が・・・

 

ショーヴランがわざわざイギリスから会いにやって来て

もう一度自分とやり直そうと迫るシーン

心が揺らぎながらも、思いとどまる、というようなやり取りだったのだけど

ショーヴランに想いがあったのか無かったのかはっきりしない

 

二人の密会現場にやってくるパーシーは

ショーヴランを欺くため、バカを演じている

夜中に男と二人でコソコソしてる妻をなんとも思ってないらしい

それを変にも思わずに、二人のやりとりにツッコミを入れるマルグリット

本当に、こんなパーシーのどこが気に入ったんだろう?とここでも疑問が

 

ショーヴランがやってきた理由は、マルグリットをもう一度利用するためと、

多少はよりを戻したかったのもあるかもしれない

自分の密告によって、サン・シール侯爵が処刑されたことに罪の意識を感じ

「私の手は血に染まってしまった」

「どうしてあんなことをしたのか、殺さないという約束だったではないか」

とショーヴランを責めるのに

人質になったアルマンを釈放する代わりに、ピンパーネルの正体を探れ

というショーヴランの事を「本当に信じてもいいのね?」ってあっさり承諾する

あんた、騙されて利用されたやん、そんでサン・シール一家が殺されたやん?

なんで信じれるの?バカなの?ってなってしまった

マルグリットはちょっとおバカな性格の女性なのか??

とここで大きく頭にハテナマークが・・・

 

二幕に入り、フランスの刑務所まで単身アルマンを救出に行くマルグリット

パーシーに止められていたのに、内緒で来たらしい

結局あっさり捕まり、牢屋に入れられるときには

門兵につばを吐くなど感情的な一面も

そんな行動力のある女性だったのか??

ここでキャラに疑問が・・・

 

刑務所から処刑場へ移される時には毅然として出て行く

あれ?そういうキャラだった?とまた疑問が

 

そういう強い女性だったら、パーシーに対しても

もう少しなにかあってもいいような気がしたが

 

処刑場では、まさかの二刀流で

兵隊相手に戦いまくる

いつからそういうキャラだったのだ???ともうここではポカーン

安蘭さんの殺陣はとても綺麗だったんだけど

そういう問題じゃなくて、キャラが崩壊してないですか?

と、もにょーっとした感情で見てしまいました