観劇アレコレ日記

いわゆる「イケメン舞台」についてのアレコレ。

2016.09.28 エリザベート 東宝 梅田劇場 マチネ・ソワレ 花總さん・蘭乃さん 感想

花總まりさん (エリザベート 役)

 

お花様は、お花様でお花様(物理)だった!!

 

美しく気高く気品があった

前半の少女時代は、可憐でかわいらしく

後半の年齢を重ねるシーンでは、重厚感あった

 

エリザベート醍醐味の一つが

少女時代から死ぬ直前までの

「長い期間の一人の人物を演じる所」と思うんだけど

お花様は「老け演技」を特に強調するかんじではなく

自然に演じてるんだけど、年齢を重ねていくような

そんな印象

歌声が、低音も高音も綺麗に出るので

年取ってからは地声の低音で歌うことが多くて

それが自然な印象になってるのかもしれない

 

お花様の歌声の魅力というか、素晴らしいところは

地声と高音の境目が無い事だと思ってて

低音から高音までどの音程も凄く美しく出てる

安定感がハンパナイの

それが、エリザベートの半生を描く今作ではものすごく活かされてると感じました

この長い年月をひとつの舞台で演じられる役者はなかなかいないと思います

さすが、お花様だなと思える歌唱力でした

 

可憐な少女時代は、お花様の可愛らしさが存分に堪能でき

自分を取り戻すシーンでの気高さは凛として

一幕最後の真っ白な衣装では、もはや神々しい

神がかって美しいの

美しさが失われる晩年や、息子ルドルフの死後は

年老いていくんだけど「いかにも年取った」ってかんじでなく

美しいエリザベートなんだけど、若くない、ってかんじかな

年をとっても、オーラと美しさが消えることは無いのです

選ばれし人間、後世に名を残すべき人物

そういう、一般人とは違う世界に生きた女性にも

悩みや苦労があり、懸命に生きていたんだ

お花様のエリザベートはそんなかんじです

 

歌声は、期待通りで圧倒的

トートの井上さんがこれまた凄くて

そこにお花様の歌声が重なるわけだから、神がかってます

相乗効果で凄すぎる

圧倒的なんだけど、テクニックとかそういうのを全く感じない

ストレートに凄さが伝わってくるのです

 

お花様の回は2階席だったのだけど

近くの席だったらオーラにやられて

息が出来なくて大変な事になってた気がしますw

とにかく、美しくて可憐で気品があって女神様でした

 

お見合いのシーンでのアドリブについて

お姉さんの髪飾りが取れてしまって、舞台に転がるというハプニングがありました

お花様は、椅子から飛び降りて床にぺったり座り

髪飾りを大事そうに拾って、こっそり隠し

他の人の目を盗んで、お姉さんにそっと教えて

頭に付けてあげて「上手くいったね」と二人でにっこりする

という完璧なアドリブをかましていました

これ、初めて見た人はこういう演出だと勘違いしてもいいくらい素晴らしいアドリブだった

シシィ(エリザベート)は自由奔放な少女で、お見合いには付き添いで来ただけ

皇太子にも興味は無くて「早くお見合い終わらないかなー」ってソワソワしてる

ってシーンなのです

だから、椅子から下りて床に座るのも

髪飾りを拾うのも、シシィの自由さを強調してて

とても自然な流れでした

お花様のアドリブが神すぎて、ますます虜になりました

 

 

 

 

蘭乃はなさん (エリザベート 役)

 

昨年は、カテコで拍手が消える、とか散々の評判を聞いていたので

どうなのかなと思ってたのですが

良かったです!!

歌声は、低音と高音の歌い方の差が激しく

低音の地声の部分は安定しているのですが

高音のビブラートは独特の発声法に感じました

そして、繋ぎが苦手なのか

地声から裏声になる時に「頑張ってる感」があるのは否めない

エリザベートの歌は難しいので、歌いこなすのが大変なのかなと感じます

しかし、蘭乃さんが初見だった事もあり

これはこれでアリでした

歌声の不安定な所がエリザベートの心情とマッチしていて

等身大のエリザベートというか

一人の女性として感情移入しやすく

エリザベートが悩み、不安に感じ、いろんな決断をしていく所が

リアルに感じられたように思います

私は低音の地声の方が無理が無くて好きだったので

後半の歳とった演技の歌声が綺麗だと思いました

 

演技は、少女時代はとっても自然

年相応の可愛らしい女の子、ってかんじ

1幕最後の真っ白なドレスも眩くて美しかった

後半、年齢を重ねる所はとても難しい演技だと思うのだけど

腰を曲げて姿勢を変えたり、少しがに股っぽく歩いたり

(ドレスだから分かんないけど、多分)

ヨロヨロしてたりで、分かりやすく老け演技をしていたと思います

お花様が、あえて老けたのを強調していないように演じていたのに対して

蘭乃さんはしっかり老け演技をしていて、対照的でした

蘭乃さんのエリザベート

ごく普通の女性がたまたま皇后になってしまい

悩み、傷つき、トートに翻弄されながらも

自分の道を見つけ、老いに恐怖する

決して強くはない、リアルな一人の女性を

感じられました

 

 

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